企業の闇 店長に「罰金」 中古車ビッグモーター 店舗未達なら上限10万円

中古車販売大手のビッグモーター(東京)社内で、自動車保険の契約について月間目標額が定められ、目標を下回った販売店の店長が、上回った店長に現金を支払う慣行があることが3日、同社への取材で分かった。会社側は各店舗の分配表を作成しつつ、店長間のやり取りを黙認していた形だった。不適切な「罰金」制度と指摘される可能性もあり、同社は12月分から現金の授受を中止するという。

同社によると、全国約80の販売店は保険代理業務を請け負っており、従業員1人当たり平均で前年同月比25万円の契約増を目標として設定。前月の実績に応じ、目標を達成できなかった店の店長から10万円を上限に現金を集め、達成した店の店長へ分配する。店長が交代すれば1カ月だけ免除されるという。月1回の会議終了後、経営陣が退席した後にその月に実績上位だった店長が仕切り役となり、本社の保険部署から配布される表に従って分配を実施。現金は店長が個人負担するという。

 産経新聞が入手した内部資料によると、例えば今年5月は計18店が上限の約10万円を支払うなどして計53店がマイナスとなり、トップ店舗が約119万円を受け取るなど20店がプラスになっていた。7店は店長交代で免除されていた。

 関係者によると、従業員が多い店ほど合計契約件数が多くなるため目標達成が難しく、毎月のように支払いが続くケースもあるという。こうした仕組みは少なくても約5年前には存在していたとみられる。

 産経新聞の取材に対し、同社の顧問弁護士や総務部の担当者は「分配について社内に規定はなく、会社と関係なく店長間で慣習的に行われていた」と説明。店長が支払いを断るケースもあるとした上で、「会社からは一切強制していないため、違法性はないと認識している。拒否できない空気があったのであれば、会社として配慮すべきだったかもしれない。不満がある店長がいるくらいなら、(現金授受を)やめればいいと店長側に伝えた」と話した。